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記帳はこまめにシンプルに

年が明け、新年の行事がにぎやかに行われる中、気が付けば1月の下旬となり、所得税の確定申告の時期がやってきます。例年、所得税確定申告の相談会場も2月になると各地で開設され、私も相談員として参加しております。個人事業主の決算と申告書作成の相談をメインに行うのですが、最近は、会計帳簿を作成するためのシステムがパソコンだけではなくスマートフォンやタブレット端末を利用して行えるようになってきていて、決算や税務申告の利便性は高まっています。

それに加えて、領収書等の原始証憑類をスキャナで読み取ったデータやスマートフォンのカメラで撮影したデータを、会計システム側で認識し、記帳に必要な、日付、金額を自動入力することも可能となってきています。平成26年1月から白色申告も記帳が義務化されました。白色申告もスマートフォンやタブレット端末で会計処理が可能となるので、さらに会計システムの普及が進むのではないかと思います。消費税の税率も、4月から変わるうえ、その先には軽減税率も検討されているので会計の効率化への要請は益々高まると考えられます。

このように会計帳簿の作成から確定申告書の作成においては電子申告も普及してきてスピーディーに行われる仕組みが年々進歩しているように思います。

一方、普段の会計書類の整理ですが、こればかりは、なかなか思うように進まないと言われる事業主がおられます。以前、原始証憑書類(請求書・領収証・契約書等)の整理については、本メルマガに書いたことがあるのですが、その頃から変わってきているのが、ネットショッピングが普及しそれに伴うインターネットバンキング、電子マネー、プリペイドカードなど決済手段が増えていることです。

日常の会計処理を行うとき、預金から支出しているが、通帳にはネット通販サイトの名前しか記帳されず、会計処理ができないような場合です。 通販サイトによっては、取り扱われている商品の種類が多いので、サイトの名前だけでは何を購入したのか分からなくなってしまうのです。そのため通販サイトに購買履歴を探しに行ったり、メールの履歴を検索したりすることに時間がかかってしまうケースがあります。

ちょっと余談ですが、電子マネーが普及してポイント利用が盛んですが、ポイント利用で購入した場合は、原則として、ポイント控除後の実際に支払った額で記帳することとなります。例えば、家電量販店のたまったポイントを利用して、事務用品や備品を購入するケースがこれにあたります。注意が必要です。

確定申告書を提出したら、原始証憑書類は不要と思っている方もおられます。
確かに、領収証などを税務署へ毎年提出する義務はありませんが、税務調査の際、請求書や領収書は証拠として提示を求められます。進化した便利な会計ソフトを使う場合でも、記帳を行うためには、結局証憑類の整理が必要となるのです。

以下におすすめの会計書類の整理方法を述べます。

1)用意する物は以下の通りです。
・クリアホルダー 12枚+12枚
・クリアファイル(ポケットが12個以上あるもの) 2冊

2)12枚のクリアホルダーに、油性ペンで1から12までの数字を記載し、現金で 支払った領収証を月ごとに保存します。プリペイドカードや電子マネーの入金 記録と領収証も一緒に保存します。

3)さらに12枚用意して、自動振替のお知らせやクレジットカードの購入明細書 を月ごとに保存します。(これらを別に保存する理由は、これらの記帳は、現金出納帳に記帳せず、銀行帳に記帳するためです。)

4)会計ソフトなどへの記帳は毎日行うのが原則ですが、長くて1週間を目安に 会計ソフトなどに入力します。

5)記帳が済んだ分の領収証は、クリアファイル(A4サイズでポケットが12枚 以上あるもの)を、現金払い等の領収証保存用と、クレジットカードの明細書
保存用に1冊ずつ用意して、それぞれに月ごとに保存します。

6)ここまでは、支出の書類のことばかり記載いたしましたが、売上に関する書 類(売上伝票・請求書及び領収証の控え)も同様に整理します。

 

こちらがおすすめの方法です。

もちろん記帳は税金の申告だけのためにするものではありません。タイムリーに経営状況の把握をし、意思決定を正しく行うための判断材料にすることが最大かつ本来の目的です。記帳はこまめにシンプルに。進化した会計ソフトを利用して効率アップを図り、活きた財務管理を行いましょう。